外国人の年金・脱退一時金完全ガイド【帰国時の請求方法2026】
- 日本で働く外国人も、国民年金・厚生年金を支払います。
- 帰国する際に、脱退一時金として支払った一部の返金を請求できます。
- 受給条件・申請方法・受給額の目安を解説しています。
日本で働いた外国人は国民年金・厚生年金を支払いますが、帰国する際に脱退一時金として一部返金を受けられます。年金は社会保険の一部として会社員は厚生年金に、個人は国民年金に加入します。
① 脱退一時金とは
日本の年金(国民年金・厚生年金)に加入していた外国人が帰国する際に受け取れる一時金です。支払った年金保険料の一部が返金されます。
② 受給条件
- 日本国籍を持たない外国人
- 国民年金・厚生年金の保険料を6ヶ月以上納めていること
- 日本に住所がないこと(出国後)
- 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと
なお、40歳以上の方は年金保険料とは別に介護保険料も納付しています。脱退一時金の申請と合わせてご確認ください。
参考として、2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は月額17,920円です。受給資格期間(10年以上)を満たすと65歳から老齢基礎年金を受け取れます(40年間納めた場合の満額は2026年度で月額7万608円)。10年を満たさずに帰国する場合に、脱退一時金の対象になります。
③ 申請方法
- 日本を出国する(役所で住民票の抹消)
- 日本年金機構に「脱退一時金裁定請求書」を郵送
- 審査後(約2〜3ヶ月)、指定口座に振込
④ 受給額の目安(厚生年金の場合)
| 加入期間 | 受給額(月給20万円の場合) |
|---|---|
| 6ヶ月 | 約10万円 |
| 1年 | 約22万円 |
| 3年 | 約66万円 |
| 5年(60か月) | 約110万円 |
※平均標準報酬額を月20万円(賞与を含まない)・厚生年金保険料率18.3%として計算した目安です。賞与がある場合や給与が高い場合はさらに増えます。実際の金額は日本年金機構でご確認ください。
脱退一時金や税の還付金を日本国内で受け取る場合は、銀行口座が必要です。
⑤ あなたはどのケース?納付期間別の扱い早見表
脱退一時金を検討する前に、まず自分がどのケースに当てはまるかを確認しましょう。
| 加入期間・状況 | 扱い |
|---|---|
| 国民年金・厚生年金とも6か月未満 | 脱退一時金の対象外(要件未達) |
| 6か月以上〜10年未満(老齢年金の受給資格期間を満たさない) | 脱退一時金を請求できる場合がある(出国後2年以内) |
| 10年以上(老齢年金の受給資格期間を満たす) | 脱退一時金は対象外。将来、老齢年金を受け取れる場合がある |
| 過去に障害基礎年金等の受給権を得たことがある | 脱退一時金の対象外 |
| 転出届を出さずに(住民票を残したまま)出国中 | 「日本国内に住所を有しない」要件を満たさないため、現行制度では請求できません(請求可能期間の2年は転出日の翌日から起算)。なお2025年の改正法では再入国許可の有効期間中の請求を制限する規定が新設されますが、2026年8月時点で未施行です(⑥参照) |
出典:日本年金機構「脱退一時金の制度」・同 Q&A(短期在留外国人の脱退一時金)。
⑥ 支給上限の引き上げの経緯
脱退一時金の計算に使う月数には上限があります。2021年4月の制度改正で、この上限が36か月(3年)から60か月(5年)に引き上げられました。最後に保険料を納付した月が2021年4月以降の方が対象です(2021年3月以前のみの加入では旧上限の36か月が適用されます)。この改正は、特定技能1号の新設で最長在留期間が5年になったことなどが背景です。
出典:厚生労働省 年金制度改正(脱退一時金関連項目)・同「在職老齢年金の見直しについて」(2026年4月1日施行はこちら)。
⑦ 帰国後の年金通算・社会保障協定との関係
脱退一時金を受け取ると、その計算の基礎となった加入期間は、将来の年金加入期間の通算から除外(リセット)されます。日本と社会保障協定を結んでいる国の中には、両国の年金加入期間を通算できる国と、保険料の二重負担防止のみを目的とする国があります。
| 協定の種類 | 該当する国の例 |
|---|---|
| 加入期間の通算が可能 | ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、スペイン、ブラジル、フィリピン など |
| 保険料の二重負担防止のみ(通算なし) | イギリス、韓国、中国、イタリア |
出典:日本年金機構「社会保障協定 協定国別ページ」(2026年8月時点の情報に基づく。協定の発効国・内容は今後追加・変更される場合があります)。
⑧ 請求手続きの必要書類・代理人請求
- 脱退一時金裁定請求書(英語・中国語・ベトナム語など多言語の様式あり)
- パスポートの写し(氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格が確認できるページ)
- 日本国内に住所を有しないことを証明する書類(住民票の除票等)
- 受取口座を確認できる金融機関発行の証明書等
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
請求書は郵送のほか、電子申請(e-Gov)でも提出できます。請求書の提出からおおむね4か月程度で指定口座に振り込まれます。本人が日本を離れたあとでも、委任状を添えれば代理人による請求が可能です。
出典:日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」・同「代理人による請求」FAQ。
⑨ 「受け取らない」という選択肢との比較
加入期間が10年に近い方は、脱退一時金を請求せずに将来の老齢年金として受け取る選択肢も検討する価値があります。老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていれば、65歳から年金を受け取れます(40年間すべて納めた場合の満額は2026年度で月額7万608円。加入期間が短ければその分減額されます)。いったん脱退一時金を受け取ると、その計算に使われた期間は将来の年金加入期間の通算から除外されるため、後から取り消すことはできません。
脱退一時金は、請求のしかたや課税のあつかいによって手取り額が変わることがあります。帰国時の所得税の還付を含めた手取りの考え方は、姉妹サイト「在日マネーナビ」の脱退一時金の手取りを最大化する方法(帰国時の所得税還付込み)で解説しています。また、日本で働き続けて資産形成を考える方は、NISAで始める資産形成(外国人向け・口座開設と帰国時の扱い)もあわせてご覧ください。
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